株式会社大和

WHAT IS A GIFT TO YOU? YAMATO
The Interview about Gift_vol.1

YAMATO
The Interview about Gift_vol.1
あなたにとって
贈りものってなんですか?

照れくさいけど、 したためた手紙みたいな メッセージ。

GUEST

横川正紀さん (株式会社ウェルカム 代表取締役)

GUEST

横川正紀さん (株式会社ウェルカム 代表取締役)

どんな風にギフトと
向き合っているか

ギフトを贈るときに最も大切にしていることはどんなことですか?

 そうですね、ギフト。これはね、僕にとってはとっても大切なトピックスです。もちろん経営しているお店にはさまざまなギフトをご用意しています。男性も選びやすい商品ラインナップや、ママたちがちょっとしたお礼に贈られるものまで、いろいろなケースで手に取ってもらえるギフトをご提案しています。その瞬間の喜びと共に、押し付けがましくなく、優しく消えていくようなギフトも(笑)。場合によってはそういう贈りものほど思いやりがあると思うのです。
 若い頃って、ギフトについてそんなに多くを考えないじゃないですか。それどころじゃないというか、目の前のことに一生懸命で、ギフトって言えば、記念日の時くらい。他人を気遣う余裕がないとは言わないけれど、なかなか思い至らない。
 だからギフトって、歳を重ねるごとに深まっていくものなのだと思います。  人への気持ちがわかるようになり、思いやる余裕が出てくる。歳を重ねるごとに、ギフトを贈るシーンも増えていく。

すごい!確かに歳を重ねていくごとに、贈るギフトは増えていきますね。
これまでに貰って印象に残っているギフトはありますか?

 毎年会社のみんなが、僕の誕生日に必ず趣向を凝らしたサプライズをしてくれていたんです。
 コロナ禍を期に慣例にすることは一区切りしてもらうことにしたのですが、当日は僕もソワソワしてしまうサプライズがある。中でも印象に残っているのはクラフトマンシップ溢れる積み木の『ノアの方舟』です。パーツ一つずつにみんなから一言が書かれていて、一つの船に乗っているよ、というメッセージなのだと感じました。みんなが楽しんで考えてくれたのが伝わってくる。
 創業期はまだ人数も少なくて、特にそういう社風が育ったのかもしれません。

贈り手が、贈る相手のことを考えた時間を感じますね。
逆に、横川さんが贈った贈りもので、今も印象に残っているものはありますか?

『DEAN & DELUCA』は、ジョエル・ディーンとジョルジオ・デ・ルーカによってNYのSOHOに開業したブランドなのですが、昨年、ちょうど僕らが日本で創業して20周年の節目を迎えたこともあり、創業者のデ・ルーカ氏に何かプレゼントしようと考えました。
 そこで、2019年から年に2度ほど発行している食の美しさを伝えるマガジン『DEAN & DELUCA MAGAZINE』があるのですが、そのマガジンの表紙のためにアーティストに描いてもらった絵の原画をプレゼントしよう、と。それは、『DEAN & DELUCA』の一号店にあたる『THE CHEESE STORE』の絵で、とっても喜んでくれましたね。
 贈る相手の大切なものを、同じように僕らも大切にしたいという共感の気持ちが伝わったのだとしたらとても嬉しいです。
 食べるものも、プロダクトも、結局そのもののルーツが大事だと思います。だから、誰かに贈りものをする時には、そのひとがどんな暮らしをしているのか、何に興味をもっているのかなど、わかる範囲で考え始めます。

「絵を描いてもらう」というのは時間がかかる贈りものですよね。

 いただいた時に、これは用意するのに時間がかかっただろうなとわかると、やっぱり嬉しいですよね。
 僕自身も大好きなアーティストの作品集を奥さんにプレゼントしてもらったことがあるんです。そのアーティストの話も3年前くらいにしたのですが、それを覚えていて、手に入れてくれた。そして、手に入れてから半年くらい、誕生日まで言わないでいてくれたんですよね。贈ることに、それだけの時間をかけてくれたことが嬉しかったですね。

できるだけ
相手のプライベートに
寄せたい

相手が贈りものを喜んでくれる、と想定する時に大切にしているポイントは何かありますか?

 その人は、自分では買わないだろうな、と思うもの。きっと好きだろうな、と思うものでしょうか。相手との距離にもよりますが、できるだけ相手のプライベートに寄せたい。
 意外と困るのが引越し祝い。これは2回に分けて贈ることにしているんです。1回目はワインを持って家を訪ねさせてもらって、空間の雰囲気やその方の好みを感じた後で、2つ目の贈りものを考える。気持ちがいいテラスがあったら、グリーンを贈ったり。シューチェアとか、ちょっとしたベンチなど、インテリアであれば空間における「隙間」になるようなものを選びます。ダイニングテーブルやシェルフ、香水などは、絶対に自分で選びたい好みがあると思うので、僕の役割としては、その余白に置いてもらえる贈りものを担当させていただくイメージです(笑)。

ウェルカムさんが手掛けるお店は、だからこその品揃えなんだな、と納得してしまいました。

 僕ももともとバイヤーなのですが、商品を買い付ける時点で、贈る人の顔やそれを受け取って喜ぶ人の姿を想像しています。
 最近NYにお店を出したのですが、そこでは日本の良い道具を取り扱っています。中でも合羽橋の老舗「釜浅商店」さんの調理道具の包丁はとても人気なのですが、先日アメリカに住むベジタリアンの友人に、その釜浅商店さんの菜切包丁を贈った時も、とても喜んでくれました。思いもよらない包丁との出会いが、普段しない料理まで楽しんでできるようになったと言ってくれたんです。もちろん研石も一緒に贈ります。しっかり研げる研石と、日々簡単に研げるシャープナーの2種類を。重いんですどね(笑)。

横川さんにとっての
贈りものとは

横川さんにとっての贈りものってなんでしょうか。

 メッセージみたいなものかな、と思います。日頃思っていることが込められる。言葉にならないことを伝えられる。相手を思って選んでいくプロセスで、あれ? やっぱり違う、と思って渡す前に慌てて変更することもあります。それだけ自分の気持ちにもフィットするかも大切で、それは相手にもフィットするかを点検しているから。
 そんなプロセスも含めて、やっぱり贈りものを贈るって、ワクワクするし、僕にとっては楽しいことですね。

まさにクリエイションですね。
贈りものの原点のようなお話、ワクワクしながら聞かせていただきました。ありがとうございました。
PROFILE
株式会社ウェルカム 代表取締役 横川正紀

ウェルカムグループ代表。1972年東京生まれ。京都精華大学美術学部建築学科卒業後、2000年に株式会社ウェルカム(旧社名、株式会社ジョージズファニチュア)を設立、DEAN & DELUCAやCIBONEなど食とデザインの2つの軸で良質なライフスタイルを提案するブランドを多数展開。その経験を活かし、商業施設やホテルのプロデュース、官民を超えた街づくりや地域活性のコミュニティーづくりへと活動の幅を拡げている。武蔵野美術大学特別講師。

https://www.welcome.jp
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