どんな風にギフトと
向き合っているか
そうですね、ギフト。これはね、僕にとってはとっても大切なトピックスです。もちろん経営しているお店にはさまざまなギフトをご用意しています。男性も選びやすい商品ラインナップや、ママたちがちょっとしたお礼に贈られるものまで、いろいろなケースで手に取ってもらえるギフトをご提案しています。その瞬間の喜びと共に、押し付けがましくなく、優しく消えていくようなギフトも(笑)。場合によってはそういう贈りものほど思いやりがあると思うのです。
若い頃って、ギフトについてそんなに多くを考えないじゃないですか。それどころじゃないというか、目の前のことに一生懸命で、ギフトって言えば、記念日の時くらい。他人を気遣う余裕がないとは言わないけれど、なかなか思い至らない。
だからギフトって、歳を重ねるごとに深まっていくものなのだと思います。 人への気持ちがわかるようになり、思いやる余裕が出てくる。歳を重ねるごとに、ギフトを贈るシーンも増えていく。
これまでに貰って印象に残っているギフトはありますか?
毎年会社のみんなが、僕の誕生日に必ず趣向を凝らしたサプライズをしてくれていたんです。
コロナ禍を期に慣例にすることは一区切りしてもらうことにしたのですが、当日は僕もソワソワしてしまうサプライズがある。中でも印象に残っているのはクラフトマンシップ溢れる積み木の『ノアの方舟』です。パーツ一つずつにみんなから一言が書かれていて、一つの船に乗っているよ、というメッセージなのだと感じました。みんなが楽しんで考えてくれたのが伝わってくる。
創業期はまだ人数も少なくて、特にそういう社風が育ったのかもしれません。
逆に、横川さんが贈った贈りもので、今も印象に残っているものはありますか?
『DEAN & DELUCA』は、ジョエル・ディーンとジョルジオ・デ・ルーカによってNYのSOHOに開業したブランドなのですが、昨年、ちょうど僕らが日本で創業して20周年の節目を迎えたこともあり、創業者のデ・ルーカ氏に何かプレゼントしようと考えました。
そこで、2019年から年に2度ほど発行している食の美しさを伝えるマガジン『DEAN & DELUCA MAGAZINE』があるのですが、そのマガジンの表紙のためにアーティストに描いてもらった絵の原画をプレゼントしよう、と。それは、『DEAN & DELUCA』の一号店にあたる『THE CHEESE STORE』の絵で、とっても喜んでくれましたね。
贈る相手の大切なものを、同じように僕らも大切にしたいという共感の気持ちが伝わったのだとしたらとても嬉しいです。
食べるものも、プロダクトも、結局そのもののルーツが大事だと思います。だから、誰かに贈りものをする時には、そのひとがどんな暮らしをしているのか、何に興味をもっているのかなど、わかる範囲で考え始めます。
いただいた時に、これは用意するのに時間がかかっただろうなとわかると、やっぱり嬉しいですよね。
僕自身も大好きなアーティストの作品集を奥さんにプレゼントしてもらったことがあるんです。そのアーティストの話も3年前くらいにしたのですが、それを覚えていて、手に入れてくれた。そして、手に入れてから半年くらい、誕生日まで言わないでいてくれたんですよね。贈ることに、それだけの時間をかけてくれたことが嬉しかったですね。